資格試験の学習を進めるうえでよく出会う言葉。それが「基礎知識」。
資格試験で問われる内容は「基礎知識」しか問われないということを十分に理解しよう。
この理解を忘れると、「合格」から遠退く可能性すらある。
試験を考えると必然的に基礎知識しか問えなくなる性質を理解しよう
学生の読者にはピンとこないフレーズかもしれない。
しかし、社会人になった方がこれから資格試験を受験しようとした場合、注意すべきことがある。
それが、「業務経験」だ。
どういうことか。
情報処理技術者試験の13試験区分のうち、応用情報技術者以降の試験では午後試験が記述式である。
ここで忘れてはいけない内容として「問題文」の条件に従って「設問」に答えることだ。
つまり、それ以上に「自分ならこういう経験があるからこうだろう」などの付加価値を付けてはいけないのだ。
明確に公開されているわけではないが、私が考える理由は以下の4点。
1)ベースとなる基礎的な内容を把握していること
2)専門的で高度な試験区分であるほど問題文の条件なら一般的にどうするかを答えさせたい
3)受験者が知っていることを採点官が知っているとは限らない
4)付加条件を付けだしたら正しく評価できないこと
情報処理技術者試験に限った話ではないと思うが、試験問題というのは実態に即した内容でないと意味がない。
旧態依然の出題方法だと、その試験自体の価値が薄れて意味を無くし、形骸化すると考えるからだ。
そしてもう一つ。
国家試験など難関資格になればなるほど、現場でよく起こるリアルなことを試験問題にする傾向があるように思える。これは、試験を通じて「よくある失敗を受験者は侵さないでね」という主催機関からのメッセージだと思っている。
「業務経験」による高尚な解答だとそれが正しい対応なのか不適切な対応になる可能性があるのか判断がつかなくなる。
もっと言うと、あるプロジェクトではうまく言うかもしれないが、あるプロジェクトでは失敗しちゃうよねとなりかねない。
要は、状況によって成否が左右される可能性がある。
だから、一般的な用語を使用して採点官でも通じるような第三者に伝わる解答を求めていると考える。
つまり、「基礎知識」に行きつくと考えている。
基礎知識という言葉を軽く考えない
高度な専門知識や業務経験は、わかる人には分かるが伝わらない人には伝わらない。
逆に言い方をすると、「ごまかせる」のである。
※システムエンジニアが胡散臭いと思われる一要因かな、、、としみじみ思う。
でも、「基礎知識」はごまかせない。
誤った使い方をした瞬間に「この受験者わかっていないな」と即判断されてしまう。
基礎知識を軽く考えると本当に痛い目を見る。
情報処理技術者試験の高度区分にあたるプロジェクトマネージャ試験を例に考える。
まずは試験方法だ。
午前Ⅰ試験 | 午前Ⅱ試験 | 午後Ⅰ試験 | 午後Ⅱ試験 | |
試験時間 | 9:30~10:20 (50分) | 10:50~11:30 (40分) | 12:30~14:00 (90分) | 14:30~16:00 (120分) |
出題形式 | マークシート式 | マークシート式 | 記述式 | 論述式 |
出題数 解答数 | 出題数:30問 解答数:30問 | 出題数:25問 解答数:25問 | 出題数:3問 解答数:2問 | 出題数:2問 解答数:1問 |
合格基準 | 60点以上 | 60点以上 | 60点以上 | A評価 |
情報処理技術者試験の高度区分は、4段階で評価される。
ちなみに、午前Ⅰ試験で60点未満になるとそこで採点終了となり、「不合格」が確定する。
●午前Ⅰ試験
→応用情報技術者(レベル3)の出題範囲から基礎用語の理解力を求められる。
●午前Ⅱ試験
→プロジェクトマネージャ(レベル4)の出題範囲から基礎用語の理解力を求められる。
●午後Ⅰ試験
→プロジェクトマネージャとして良く起こる事例を解析して解答する。
●午後Ⅱ試験
→問題文のテーマを題材に、プロジェクトマネージャとしてどのように行動するかを論述する。
上記の通り、段階的に基礎用語→事例解析→論述と難易度が上がっているのが分かるだろう。
特に午後Ⅰ試験や午後Ⅱ試験の解答を書く際は「業務経験」は参考程度とし、問題文の趣旨に沿って一般的な「基礎知識」で解答することが求められるのである。
しかし、基礎知識がなければ最悪午前Ⅰ試験で不合格となってしまうし、午後試験においても誤った「基礎知識」を使用したがゆえに伝えたいことが正しく伝わらず不合格になってしまうのだ。
基礎知識が問われていることが良く分かる資料
情報処理技術者試験は、試験問題と解答例が公表される。
特に、午後Ⅰ試験や記述式試験の午後Ⅱ試験の解答例を見れば分かるが、文章で解答させる設問ほど答えだけ見ると「なんだ、こんな単純な答えなのか」という印象を持たれると思う。
サンプルとして、令和3年度秋期試験の問題と解答例を参照して欲しい。
問題と解答例はこちら。
答えだけ見れば非常に簡単そうに見えるが、決められた時間内で数ページにおよぶ問題を読み、設問に端的に解答しなければならない。
午前Ⅰ試験~午後Ⅱ試験まで全て60点(論述式の午後Ⅱ試験はA評価)以上とそこまで高くない点数で合格することが出来るようにみえるが、60点を満たすのは本当に苦労する。
午前Ⅰ試験と午前Ⅱ試験は、過去問題を繰り返せば短期間で合格点をクリアできる。
しかし、最初の難関である午後Ⅰ試験を通過するにはかなり時間を要する。
その理由は、「時間が短すぎる」という点に尽きる。
午後Ⅰ試験は90分の中で2問解答する必要がある。
1問あたり45分。
一見長く見えそうだが、難易度の高い問題文を読み、短時間で文章を組み立てながら第三者に伝わる文章を作り、要求時数以内にまとめながら解答しなければならない。
つまり、制限時間内に全て回答するには瞬間的に基礎知識が出てこないと太刀打ちできないのである。
この作業が尋常じゃないくらい大変なのだ。
高度区分ならどの試験区分でも同じだと思うくらい、この「午後Ⅰ試験」が鬼門なのだ。
午後Ⅰ試験の対策はどうするの?
午後Ⅰ試験対策として重要になってくるのが「アウトプット学習」になる。
私のブログではそこら中に「アウトプット学習」という用語を出している。
それぐらい私の中で重要視している。
この「アウトプット学習」で過去問題を制限時間を測りながら解き、不正解や怪しい箇所を徹底的に「インプット学習」し、その再評価として「アウトプット学習」をしていく。
これを継続することで、60点が突破できるようになる。
ここで、情報処理技術者試験の午後試験に対応できる導入書をご紹介する。
この書籍では、問題文の読み方やマークの付け方、解答の導き方などが丁寧に解説されている。
しかも、高度区分の試験が全て載っているサービス満点の書籍である。
三好先生のこの本は大変お世話になった書籍の1冊。
ここで午後Ⅰ試験の対応方法を学び、過去問題を使用して「アウトプット学習」することで自己採点もしやすくなる。
そして、問題文で問われていることの理解も深まることで結果的に「インプット学習」も行えるようになる効果がある。
是非お試しいただきたい1冊である。
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