苦労の末に合格したシステムアーキテクト試験は最高に嬉しかった

システムアーキテクト

4回目の受験で初めて合格を勝ち取ったシステムアーキテクト試験。
論述式試験に挑戦した最初の試験区分でもあった。
最初はどうしていいか全くわからずに苦労だらけだったが、正しいプロセスを教わりながら積み重ねを続けることでついに合格することができた。
旧ブログ「積み重ねを続けて、いつか大きな夢(資格)をつかもう!!」の学習記録を要約して、システムアーキテクト試験の対策や合格体験記をまとめたいと思う。

システムアーキテクト試験とは

13区分ある情報処理技術者試験の1区分。
レベル4の高度区分に該当し、午後Ⅰ試験は記述式、午後Ⅱ試験では論述式での試験となる最難関資格。

この試験の概要は、ITストラテジストからの指示を受けてシステム開発に必要となる要件を定義し、それを実現するためのアーキテクチャを設計し、情報システムを開発する能力を評価する試験である。

システムアーキテクト試験の詳細はIPAのHPにまとめられている。(詳細はこちら)

合格率は、新試験制度(平成21年度~)になってからの平均値として13.9%である。
(IPAの統計情報資料はこちら)

システムアーキテクト試験合格までの道のり

平成26年度 秋期 システムアーキテクト試験で合格することができた。
初めての論述式試験にチャレンジして4回目でようやくここに達することができた。
最初はまともに論文を書くこともできず途方に暮れていたが、諦めずに少しずつ理解を深めながら課題をクリアし、ひとつずつ積み重ねていくことで合格レベルの論文が書けるようになることを学ぶことができた
合格までの道のりは以下の通り。

 平成22年度 初受験:午後Ⅰ試験まで突破するも、午後Ⅱ試験B評価で不合格
 平成24年度 2回目:1回目同様、午後Ⅱ試験B評価で不合格
 平成25年度 3回目:2回目同様、午後Ⅱ試験B評価で不合格
 平成26年度 4回目:合格!!!

なんといっても午後Ⅱ試験の論述式試験が鬼門だった。
初めて論述式試験を受験される方にお伝えしたい内容を次に書きたいと思う。

システムアーキテクト試験合格のカギは午後Ⅱ試験

午後Ⅰ試験は、応用情報技術者試験の前身であるソフトウェア開発技術者試験に合格していたこともあり、その延長線上で対応が可能だった。
実際に過去問題を解いてみても新たに覚える要素は少なく、問題文と設問に従って素直に答えれば得点できる問題が多い印象だった。

しかし、午後Ⅱ試験に関しては本当に苦労した。
午後Ⅱ試験の肝は「問題文の趣旨に従って、設問に答えること。但し、具体的に論述すること」である。

この肝を抑えるためには以下のステップアップが必要というのが私の行きついた答えである。

  1. 情報処理技術者試験の論文の書き方の理解
  2. 設問に従って、2,200字以上で答えられるようになる
  3. 問題文の趣旨に従って、設問に2,200字以上で答えられるようになる
  4. 問題文の趣旨に従って、設問に具体的かつ定量的に2,200字以上で答えられるようになる

まずは、過去問題から解けそうな問題を1つ選択して、自分がどのレベルにいるのかを評価する
1.や2.は少し訓練すればそれほど時間がかからず突破できると思う。
しかし、3.以降がとても難しい。
最終的には「4.問題文の趣旨に従って、設問に具体的かつ定量的に2,200字以上で答えられるようになる」レベルにもっていく必要があるが、順を追って学んだことを解説してみたいと思う。

問題文の趣旨に従うってどういうこと?

一番最初に意識しなければならないのは、「何が問われているのかを問題文から読み取る」こと。
ここで注意が必要なのは、よく起こる事例を要約して抽象的に表現したものが問題文になっているということである。

この抽象的な問題文から、私(=受験者)の経験と考えを中心に具体的に論述していく必要がある。
もちろん、設問ア、設問イ、設問ウが全て関連付けられていなければならない。

だから、最初に問題文で問われていることを読み間違えると、いくら具体的で一貫性のある納得のいく論文を書き上げても合格にはならないのである。

設問に具体的かつ定量的に書くっていうけど難しくない?

最後のステップが一番の難しい。
ここがクリアできれば、合格はかなり近くなると思う。
結論から言うと「問題文の行間を埋めて具体的な問題文に仕上げる」ことができるかどうかである。

どういうことか。

設問アでは、問題文の状況を受験者の経験(疑似体験でも可)に置き換えてシステム概要などを説明する必要がある。
その際に、以下のような制約や特徴を盛り込んでおくことを忘れないこと。
(あくまで問題文や設問に従う必要があるので問われていなければ書かなくても良い)

 ・工期が短いなどの制約
 ・PJメンバに専任の有識者を参画できない
 ・ミッションクリティカルであるなどの特徴的な要件

設問イでは、問題文に示されているような課題に対して、設問アで述べたシステムではどのような課題があり、それにはどのような解決したのかを述べていく
設問イが一番具体的に論述する必要がある
例えば、どのような課題があったのか、複数ある解決策からなぜ特定の解決策を選択したのか、その理由はなにか、複数ある解決策のうち最良と思われる解決策で得られる効果と課題はなにかなどを具体例を挙げながら述べていく必要がある。
更には、設問アとの関連性がないといけない。
つまり、設問アで述べた制約や特徴を考慮した解決策になっていないといけないのである
第3者である採点官にそれが妥当と思わせるためには、定量的な数値が必要となる。

設問ウでは、設問イで述べた内容の中で特に工夫して成功した点や改善点を述べる
これも設問ア、設問イと関連性がなければならない
例えば、今回のシステム開発には有識者をスポットしか入れられなかったけど、そもそも属人化していることが問題だったから、今回のシステム開発ではしっかりとコーディング規約や標準化を進めて次回のシステム開発に活かそう、有識者レビューを事前に計画して要件定義をしっかりやりきろうなどというような工夫点や改善点を述べる。
そして、工夫した点や改善点で期待できる効果はどのようなものが考えられるかを先見性をもって述べる。

このような考え方で、与えられた問題文の行間を受験者が埋めていくのが論文試験の解答ではないかと考えている。

論文試験は採点官とのコミュニケーション方法であることを忘れない

採点官は、受験者の経験や能力を知らない
そのため、問題文を使って一般的によくある課題を渡すから、それを紙に書いて教えてねというコミュニケーション方法を採用している。

つまり、

 「あなたは、なんで今回そのような結論を導いたのか?
  そして、その結論を実現するために、どのような工夫や調整をしたのか?

  (この行間に、採点官はあなたのことを知らないから具体例とかも付けて、
   分かりやすいように教えてというメッセージが含まれている)

  そして、それがなんで解決に繋がるのか?」

ということを問われているだけに過ぎないと思っている。

だから、論理的で具体性のある定量値を用いた論述をすればするほど、自分が良く分かっていない箇所や正しく理解していない箇所が「論理破綻」や「論理の飛躍」という形で表れてくる。
このまま受験日当日まd放置すると、答案を見た採点官は「なんでこうなるの?矛盾していない?さっきまでAっていってたのにいきなりBの話しているな?」などの不信感を得る。
これが一定数たまると「不合格」になる(と思われる)。

こうならないように、受験日前日までに何回も同じ問題を使用して論理破綻や論理の飛躍が起きないように矯正しながら訓練する必要がある
そうすることで、論理的でかつ定量的な表現や具体例が盛り込まれた具体的な論文に近づけることができる。
しかもその論文には首尾一貫したストーリと先見性を兼ね備えたものに仕上がっていく。

この訓練に問題数をこなす必要はないと考えている。
あくまで2~3問程度の過去問演習で十分だと思うし、それが限界だとも思う。

あと、1つ是非試してほしいことがある。
それは、自分が書いた論文を第3者に読んでもらうことをお勧めする。

お勧めする書籍

他の投稿記事でも書いているが、三好先生のこの書籍で「問題文の趣旨に従って、設問に答えること。但し、具体的に論述すること」の基礎が学べる。
問題文の読み方、タイトルの書き方、設問ア、設問イ、設問ウの書き方、具体的で定量的な表現の盛り込み方など多くのことが学べる。
そして、システムアーキテクト試験だけでなく、ITストラテジスト、システム監査技術者、プロジェクトマネージャ、ITサービスマネージャなどの他試験区分の論文についても学ぶことができる。
システムアーキテクトの立場の理解にも役立つし、合格後に別の論述系試験区分にも対応できる。
一石五鳥以上の良書である。

松田先生の参考書で、システムアーキテクトに必要な基礎知識を習得できる。
また、午後Ⅰ試験の対策としても非常に有益で10年分以上の過去問題と解説が載っている。
これ一冊あれば午後Ⅰ試験までは普通にクリアできたので、おすすめである。
午後Ⅱ試験も過去問題とサンプル論文が多数あることから参考にすると非常に理解が深まる。

三好先生の論述本×松田先生のシステムアーキテクト本の利用することで合格にかなり近づける。

受験を考えている方は是非お勧めしたい書籍である。

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