情報処理技術者試験の高度区分に該当する「エンベデッドシステムスペシャリスト」試験。
この記事は2022年5月に投稿した記事(エンベデッドシステムスペシャリスト試験の合格を目指す)をリライトしたものである。
この記事では、試験概要や受験動機、学習方法についてまとめる。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験とは
この試験はどういったことが求められる試験なのかのぉ~
組込みシステムの企画力および開発能力を評価する試験です!
エンベデッドシステムスペシャリスト試験は、ハードウェアとソフトウェアを組み合わせて構築する組込みシステムの事業戦略や製品戦略の策定、および開発能力を評価する試験である。
対象者像としては、情報処理推進機構(以下、IPA)の公式HPで以下のように定義されている。
高度IT人材として確立した専門分野をもち、IoTを含む組込みシステムの開発に関係する広い知識や技能を活用して、市場動向・関連業界の動向を踏まえて最適な組込みシステムの事業戦略や製品戦略を策定し、ハードウェアとソフトウェアの要求仕様の策定、及び要求仕様に基づいた組込みシステムの設計・構築・製造を主導的に行う者
出典:IPA エンベデッドシステムスペシャリスト試験 https://www.ipa.go.jp/shiken/kubun/es.html
この試験の概要を簡単にまとめる。
1)試験実施時期
10月第2日曜日
2)試験時間、出題形式、出題数、解答数、合格基準
午前Ⅰ試験 | 午前Ⅱ試験 | 午後Ⅰ試験 | 午後Ⅱ試験 | |
試験時間 | 9:30~10:20 (50分) | 10:50~11:30 (40分) | 12:30~14:00 (90分) | 14:30~16:00 (120分) |
出題形式 | マークシート式 | マークシート式 | 記述式 | 論述式 |
出題数 解答数 | 出題数:30問 解答数:30問 | 出題数:25問 解答数:25問 | 出題数:2問 解答数:1問 | 出題数:3問 解答数:1問 |
合格基準 | 60点以上 | 60点以上 | 60点以上 | A評価以上 |
3)合格率
17.0% ※平成21年度~令和5年度までの平均値
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の詳細情報はIPAの公式HPを確認しよう!
なぜエンベデッドシステムスペシャリスト試験を目指したのか
おぬしは組込みシステムの開発経験がないのになぜ受験したのじゃ?
未来への準備と全区分制覇のためです!
情報処理技術者試験には13区分の試験が存在する。
長年システム開発をしてきたが、ここ数年IoTが加速し、ハードウェアとソフトウェアを融合した社会インフラ基盤の構築が非常に多くなってきている。
この状況の中で自分自身と向き合ったときに、以下2点の理由で受験しようと決意した。
- 組込みシステムに関する基礎知識の習得
- 未来への準備
- 情報処理技術者試験の全区分制覇
この時点では、ネットワークスペシャリスト試験とエンベデッドシステムスペシャリスト試験の2区分がまだ合格できていない区分であった。
ここまで来たら全区分制覇して、まずは基礎知識を広げてある程度知っているという状況に身を置くようにしたいと考えたこともきっかけの一つであった。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験の学習上の特徴
合格してみて改めてこの試験区分に対する特徴はどういったものがあったのかのぉ~?
情報量の少なさと基礎学力が問われる点だと思います!
私が思う特徴は2点ある。
1)情報量の少なさ
情報処理技術者試験は試験区分によって、参考書の種類が相当変わる。
特にこの試験の参考書やインターネット上での文献が非常に少なく、勉強がしにくいのが特徴である。
情報量が少ない理由は、シンプルに年間の受験者数が少ないからだ。
2)数学や物理などの基礎学力が結構問われる
以外かと思われるかもしれないが、学生が比較的受かりやすい傾向にある。
この試験区分には数学的要素や物理的要素、電気回路など、高校生や大学生で学ぶ内容がかなり出題される。
つまり、社会人歴が長くなればなるほど(現役学生から遠ざかれば遠ざかるほど)辛い分野だ。
なお、このブログではエンベデッドシステムスペシャリスト試験に関する学習状況や対策内容などの記事を多く投稿している。
私が投稿した過去の記事もいくつか紹介しながら学習方法についてまとめていきたいと思う。
私のエンベデッドシステムスペシャリスト試験の学習方法
特徴を踏まえておぬしはどのように学習したのかのぉ~?
過去問演習とYouTubeチャンネルの活用です!
私のこの試験の戦歴は以下のとおりである。
令和3年度 秋期試験 不合格
令和4年度 秋期試験 不合格
令和5年度 秋期試験 合格
この試験は令和5年度に大きな改定があった。
具体的には、午後Ⅰ試験の解答数が2問から1問に減り、午後Ⅱ試験は記述式から論述式に変更となった。
午後Ⅰ試験対策は、以下の2冊を使用して令和4年度までのエンベデッドシステムスペシャリスト試験の午後Ⅰ試験と午後Ⅱ試験の過去問演習を行う。
午後Ⅰ試験対策を行う上で、本番同様の制限時間内で問題を解くことが重要である。
午前Ⅰ試験対策を進めるうえで、正解した問題と不正解となった問題を明確にし、不正解となった問題についてしっかりと解説を読み、ノートにまとめる。
解答できなかった箇所や問題文でよくわからなかった用語や文章などをしっかりと理解するために様々なメディア(インターネット上の記事、YouTubeなど)を駆使して理解を向上させる。
たとえば、私の場合は数学や物理に関する部分が非常に苦手だったので、YouTubeチャンネル「映像授業 Try IT(トライイット)」さんに大変お世話になった。
午後Ⅱ試験対策としては、以下の書籍で論文の書き方を学んだうえで、過去問題から2~3テーマを選択してひたすら演習と課題抽出を行う。
私は、組込みシステムの開発経験がなかったため、ITストラテジスト試験の領域であった企画・構想フェーズに関する分野で対策を行った。
論文対策を行う上では、ネタ集めや具体的な実践例を学ぶ必要がある。
その際に大変お世話になったのが、YouTubeチャンネル「ほらっちチャンネル」さんである。
私の場合は基礎学力の部分と経営戦略の部分が弱かったので、中学や高校の対策や中小企業診断士の対策動画を参考にした。
一見遠回りに見えるかもしれないが、他の専門領域の学びを行うことで、「エンベデッドシステムスペシャリストとして当たり前にわかっているよね」の部分を強化することができた。
エンベデッドシステムスペシャリスト試験に限らずだが、参考書などの対策ツールは、その試験のメイン領域に関する内容を充実させている。
よって、その前提となる内容というのは意外と薄くなっていることが多い。
基礎知識の上にその試験の内容を積み重ねる必要があるため、基礎知識の土台が弱いとエンベデッドシステムスペシャリスト試験に必要な知識もうまく積みあがらない。
このような課題を感じて遠回りしてでも学習を進めた。
受験者ごとに知識や経験、状況が異なるため、誰にでもマッチする受験対策はないと考える。
しかし、私のように組込みシステムの開発経験がなくても合格することができるということ、そして、そのような方に向けて一つの事例としてこの記事が参考になれば幸いである。
まとめ
この記事では、試験概要や受験動機、私の体験談をベースとした学習方法などについてまとめた。
最後に本日のまとめを行いたいと思う。
- エンベデッドシステムスペシャリスト試験は10月第2日曜日に実施される
- この試験の午後試験は、記述式と論述式で実施される
- 合格率は17%程度
- この試験の対策を行う上での特徴は情報量の少なさと基礎学力が必要になる点
- 試験対策は過去問演習と不足する点の補強(ときには他の領域の学習も必要)
- 組込みシステムの開発経験がなくてもしっかり対策すれば合格できる
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