情報処理技術者試験は合格率だけで判断しない!

全般

情報処理技術者試験は13区分ある。いずれも合格率は公表されている。
しかし、合格率だけで受験を決めると思わぬ苦戦を強いられることに注意しよう。
同じような合格率が並んでいても、試験区分によって受験者数やレベルが全然異なるからだ。

情報処理技術者試験の統計情報

平成21年度~令和4年度(春期)までの受験者数、合格者数、合格率、平均年齢をまとめてみた。
※詳細はこちら

試験区分レベル午後試験受験者数合格者数合格率平均年齢
ITパスポートレベル11,302,051670,45551.5%非公開
情報セキュリティマネジメントレベル2マークシート167,06599,26359.4%34.8
基本情報技術者レベル2マークシート1,393,558379,04327.2%25.1
応用情報技術者レベル3記述式850,385184,88921.7%28.9
データベーススペシャリストレベル4記述式138,83322,37116.1%30.4
ネットワークスペシャリストレベル4記述式157,96622,57914.3%33.3
エンベデッドシステムスペシャリストレベル4記述式45,8357,79317.0%32.9
情報処理安全確保支援士レベル4記述式426,83067,56915.8%35.4
システムアーキテクトレベル4記述式+論述式72,26010,03813.9%36.4
ITサービスマネージャレベル4記述式+論述式44,6516,04113.5%39.9
プロジェクトマネージャレベル4記述式+論述式137,52218,37613.4%37.8
システム監査技術者レベル4記述式+論述式36,5105,26714.4%42.1
ITストラテジストレベル4記述式+論述式57,6568,32414.4%40.3
平成21年度~令和3年度までの統計情報 ※平均年齢は令和3年度

着目して欲しいのは平均年齢

表を見てもらうとレベルが上がれば上がるほど平均年齢が上がる
高度区分に該当する「レベル4」の試験のうち、スペシャリスト系(午後試験が記述式)よりも論述式(午後試験が記述式+論述式)の方が平均年齢は上がる。

もう少し言うと、高度区分受験者は、レベル1から下積み経験を得て午前試験を軽々突破できるレベルにあるか、午前Ⅰ試験免除者が午前Ⅱ試験から登場するレベルにいる方がほとんどだ。
つまり、焦点が「午後試験」にあるという点だ。

スペシャリスト系の試験では実務経験と学習内容を駆使して、問題文に従って設計内容や課題、解決手法などを端的にに答えることが要求される。

一方で論述式の試験は、与えられたテーマに対して第三者に伝わるように状況説明から入り、何が問題でそれをどうやって改善し、さらに良くするためにはどういうことが考えられるかということを求められる。試験区分に求められる姿を基準に、一貫性や先見性などさまざまな要素で解答が求められ、紙面を利用してのコミュニケーション能力まで問われる。ちなみに、午後Ⅰ試験は記述式で解答し、午後Ⅱ試験が論述式試験となっている。

つまり、段階を踏んでいかないとなかなか合格しにくい試験になっているのだ。
だから、合格率だけで判断すると思いのほか苦戦する可能性があるのだ。

レベル2の試験だからと言って侮ってはいけない情報セキュリティマネジメント

レベル2の試験区分に、「基本情報技術者」と「情報セキュリティマネジメント」がある。
合格率だけ見ると「情報セキュリティマネジメント」の方が合格できる可能性が高く見える。
しかし、ここが盲点なのである。

情報セキュリティマネジメントは、社会人経験があり、少しでもセキュリティに関するルールや社内教育を受けていると勉強すれば合格できる。しかし、この経験が少ない学生は慣れない言葉に苦戦する。

一方で、基本情報技術者は商業高校や工業高校、工学部の学生であれば、コンピュータ化学基礎やアルゴリズム、プログラミング言語、統計など様々な分野の授業で触れる機会が多い。また、この試験に合格すると大学推薦枠を勝ち取ったり、入社試験の加点要素になるなどの恩恵も得られることから、力を入れている教育機関が多数ある。

このような背景からも、「合格率」だけで判断すると大事な時期に取るべき資格を逃してしまう可能性があるのだ。

レベル3以降の試験区分では午後試験に焦点を当てるのが良い

レベル3の試験区分に応用情報技術者、レベル4の試験区分にはデータベーススペシャリストやプロジェクトマネージャなど9区分の試験が存在する。

この試験区分を受験する際に、最初のアウトプット学習で午前Ⅰ試験、午前Ⅱ試験の過去問題を解くことをお勧めする。そして、その結果で50点が取れなければワンランク下のレベルの試験を受験することをお勧めする。理由は、午前試験とは比べ物にならないほど午後試験の対策に時間を要するためだ。
時間的な観点と用語で躓くなら長文を読んで記述式で解答したり論述したりするのは難しいからだ。

午後試験は、記述式試験、論述式試験共に3か月ぐらいの期間をかけてどっぷりと過去問演習(=アウトプット学習)と解説を読んだうえで分からなかった問題の復習(=インプット学習)するサイクルを繰り返す。また、論述式試験に関しては第三者に添削してもらうことを強くお勧めする。

まずはお勧めしたい書籍を紹介する。

論述式試験を始めて受験される方は、そもそもどうやって書いたらいいかが良く分からない。
理由は、自由に書けてしまうからだ。
陥りがちな問題文の趣旨に従った論述や第三者に伝わるような客観性のある文章を書こうとすると、意外とかけないものである。私はこれに気付くのに数年の時間を要し、本当に苦労した。
私の恩師である三好先生はそこをしっかりと教えてくれる。忖度なくストレートに教えてくれるため、厳しい面がある一方で本番試験は堂々と自信をもって受験できる。

もし、情報処理技術者試験の論述式試験をこれから受験されようとしている方で、ここら辺の悩みを抱えている方がいれば是非この書籍を一読することをお勧めする。

ステップアップすることで高度区分の試験に合格しやすくなる!

繰り返しになるが、情報処理技術者試験は徐々にステップアップできるようになっている。
少し遠回りになるかもしれないが、いきなり学習を始めるのではなく統計情報を参考に客観的に受かる見込みがあるか分析して欲しい。そして、合格できそうかもと思ったら、まずはアウトプット学習で自分の実力をまず知ってほしい。

そうすることで、結果的に適した試験区分を選択でき、その試験区分に対してしっかりと積み重ねを続けることで、次の試験区分に対応できるようになる。
決して「合格率」だけを鵜呑みにせず、自分自身を客観的に観て判断すればきっと早くステップアップできると思う。

まだまだ成長過程であり、チャレンジし続けようと思っている。
同じ考えをお持ちの方がいれば、是非一緒に頑張ろう!

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